MIHO MUSEUMにいきました。
山の中の桃花源。つまり桃源郷をモチーフにつくられた美術館です。
漁師が山に迷い込み桃の林を進みやがて洞窟をぬけると
そこは異世界だった。
設計はルーブルの光のピラミッドをてがけたイオ・ミン・ペイ。
中国系米国人の理想郷が日本の滋賀県信楽町に完成したのは1997年。
母体は宗教法人で、
個人の所蔵品を展示することからはじまったコレクションのよーです。
個人の持ち物だとすれば凄まじいラインナップ。
琳派のスター作品から若冲・池大雅他。全世界の古美術から天目茶碗まで3000点。
美術館の立地も素晴らしい。必見ではあります。ただ、
たとえるなら
ヴィトン、シャネル、エルメスにはじまり、
ベントレー、フェラーリ、ブカッティ、ロレックス、マイセン、バカラ…
壁画から落書きまで。古今東西有名なモノと聞けば用途を問わず一品づつ買いそろえた感じ。
通販の流行歌CD全集やクラシックのイントロCDのような展示で、
〈個々の作品や作者にたいする愛〉は感じられなかったのでした。
だれかが心をこめて描き上げた唯一無二の絵画が、
ここに行き着き高価な異郷のコレクションとともにナンバーで整理される。
さながら動物園でアフリカゾウと南極ペンギンが並ぶように。
現在の美術品の定めなのだと思いますが
すこしでも芸術を志したものには
悲しい景色です。