6人部屋のベッドに貼りつき
感覚の中に閉ざされて
〈思考だけの人〉になったとき
いつか京都シネマでみた
フランス映画を思い出しました。
「潜水服は蝶の夢を見る」Le Scaphandre et le Papillon
あの救いのない状況で思い出すには
残酷な映画だなーと思いましたが
思い出しちゃったのだからしようがない。つまり
私の身体は〈潜水服〉になっていました。
潜水服は重すぎる。
思考だけが空に浮かび上がるのですが 下の海にはもう戻れない。
錯乱気味の私は手を伸ばして
海の底の潜水服を見下ろし 空をただようのみ。
あの感覚
忘れません。
思い出したのは
退院して病状が少しマシになってきたから。
今の潜水服は20kg以下です。