蓑もつけず笠もかぶらず舟にも乗らず
一日東の軒端で釣りを学ぶ
客が来るたび酒を持参するので
釣り糸を垂れれば小魚がかかる
これが夢のひとつ。
山水画にぽつんと描かれた釣り人のように
竿一本とブリキのバケツだけをもって
枯れた釣りがしたい。
ただたんたんと。
人とか流行とか関係なく近所の見知ったじいさんの日課として。
素人なので何が釣れるのかも知りませんが
食べてもみたいし逃がしてもいい。
美術館で〈釣り人〉をみつけるたび
決まって空想しておりました。
※国宝「十便図」「十宜図」は池大雅と与謝野蕪村の合作。
〈田舎の別荘暮らしは不便だろう〉といわれた中国の文人が
10の便利なことと12のよいことを詠んだ「十便十二宜詩」を
モチーフにした文人画。
田舎もいいことたくさんありそうです。