2024-09-21 夜の光。 暗夜の砂浜に車を乗り入れる 実際は真っ暗で周囲は見えない 波の音だけがざわめいて 遠くには夕日ヶ浦温泉の光と 照らされた雲が見える 暗闇が怖くなくなったのは この土地に慣れてきたからか 鹿が飛び出す場所も知っているし 照らしたものが何であれ その先に灯りがなくても進んでいける 暗夜行路の主人公が見た大山山頂の夜明けに似て 慈愛をふくんだ青い景色は 穏やかな朝を予感させる 志賀直哉の『夜の光』の装丁はバーナード・リーチ 表紙は宵待草で 裏表紙は蛾 光を求めるのは人だけではない